Photo by Musa @ Turkey

Dec 4, 2010

私はイスラム教徒。テロには反対です。

今日、テレビを見ていたらたまたまこんなCMを見かけました。



“テロリストたちは私たちの子どもを間違った方向に導こうとしている”
“尊敬の眼差しは、涙の溢れる眼差しよりも良い”

ということで、若者に「テロはダメですよ〜。テロリストになったら家族が悲しみますよ〜。」って啓蒙するCMです。

日本にいる人にはこんなCMの存在自体が理解しがたいことであろうと思います。


警察庁の元国際テロ課長さんが書いた『グローバル・ジハード』という、この分野で唯一の包括的な概説本があるんですが、それによればテロリストたちの個人的な動機は「3つのR」に分類出来る、すなわちReaction(政府や国際社会の反応)、Revenge(イスラム共同体の一員としての復讐心)、Renown(自らの誉れ)だ、としています。

この3つの中では個人的には「誉れ」ってのが結構存在がデカいんじゃないかと思います。
この「誉れ」、ちょっと言い換えてしまうと「名誉心」とかそれに対する「憧れ」も含まれると思うんですよ。
もっと言い換えちゃうと「テロリストってかっこいい〜!!!」と思う、ということ。

このCMに出てくるような武装勢力に参加する若者の個人的な動機は、「かっこいいから」だと思うのです。
かっこいいことをしたがる、みんなから凄いと思われたい、英雄に憧れるetc...こうした気持ちや行動原理はどの世界の男も同じで、テロリストや武装勢力に参加する若者に関してもご多分に漏れず同じだと、個人的には思います。

紛争処理のプロ、伊勢崎賢治さんも同じようなことを仰っていたような記憶があります。

そうなると、テロリストになる個人的な動機「3つのR」、その中で「誉れ」は一番本能的で、取り除くのは難しいという気がしてきます。

というわけで、ここはいっちょ前園真聖に出て来てもらって、「テロ、カッコ悪い」とキメて欲しいところですが、それは無理にせよ、とりあえずこういうかたちの公共CMはやらないよりマシだと思います。

あと、ここに至ってようやく“文化外交”の出番だと思うのですが、要は若者たちがカッコいいと思えたり、憧れる対象になりえるもの、熱中出来るものを与えてやるということ。目的意識としてはこれも大事なことだと思います。

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